損害賠償はパターン化されている!?
こんにちは、京都市西京区の上桂にあるさくら整骨院です。
今回は、損害賠償の基本的な考え方を紹介します。
平成29年における交通事故死者数は3694人(前年比-210人、-5.4%)で、警察庁が保有する昭和23年以降の統計で最少となりました。
一方、損害賠償額も年々増加してきました。
今では、死亡事故の被害者に対する損害賠償額が1億円を超える裁判所の判決も少なくありません。
そして、大量 に発生する交通事故の損害賠償事件をスムーズに処理する必要から、
裁判所や保険会社は損害額をおおむね定型化しました。
もっとも、損害額の出し方には、弁護件士会(日弁連交通事故相談センター)基準、
自賠責保険基準、任意保険の保険会社各社の基準と、3つの査定基準があります。
たとえば、被害者が入院1か月のけがを負った場合を考えてみましょう。
被害者は、入院費や治療費などの積極損害と休業損害および慰謝料を請求できます。
ところが、慰謝料額だけみても、弁護士会基準では1カ月の入院で32~60万円ですが、
任意保険はそれよりかなり低めですし、自賠損保険基準は1日4200円と、
それぞれの基準により差があるのです。
つまり、どの基準が適用されるかで、
被害者が受け取れる(加害者が支払う)金額が大きく異なってきます。
なお、交通事故の被害者は、そのこうむった損害を賠償するよう加害者側に請求できはすが、
損害のすべてを支払ってもらえるわけではないのです。
被害者に過失があれば、その分は減額されます。
ここでは、具体的な損害額の出し方に入る前に、まず損害賠償が取れない場合や賠償の範囲など、
損害賠償の基本的な考え方を紹介します。
事故の被害者は損害賠償を必ずとれるのか
請求できないケースもある
自動車事故が発生した場合、被害者側の方々の心痛の大きさは、それを経験した人でなければわからないものです。また加害者側に立ってみても、刑事裁判やら損害賠償の問題で人生が大きく狂うこともあるでしょう。
しかし、その事故が死亡事故であれ、傷害事故であれ、はたまた単なる物損事故であったとしても、最後に問題となるのは損害賠償の問題です。
どんな事故が起きた場合にいくらの損害賠償が取れるかを、具体的に述べる前に、ぜひこれだけは知っておいてほしいということを、少し述べてみす。
よく誤解されやすいことに、交通事故にあえば、誰でも損害賠償を請求できると思われがちだということです。たしかに一般的には、そうかも知れませんが、どの事故についても損害賠償を請求できるものではないのです。
そこで損害賠償を考えるに先立ち多少難しいかも知れませんが、損害賠償についての法律はどうなっているのかを述べてみます。
不法行為に当たる要件とは
交通事故に限らず、他人の何らかの行為によって損害をこうむった場合の損害賠償は
、民法709条の不法行為に該当するかどうかで、請求の可否が決められています。
この不法行為に該当するためには、つぎの四つの条件を満たしていることを、
被害者側で証明しなければなりません。
①加害者が責任能力者であること
②加害者に、故意または過失があったこと
③被害者の生命、身体や財産などの権利を害されて損害の生じたこと
④故意または過失による侵害行為と損害の発生については、関係(相当因果関係)のあること
①については、加害者が15歳~16歳を過ぎていれば、責任能力ありとされてい ます。
また、④の因果関係については、通常起こりうると考えられる因果関係(相当因果関係といいます)に限っています。
4つのうち一番証明が困難なのが故意·過失の証明です。その他の事柄は証明できても、相手の過失の証明ができずに裁判で負けたという例が数多くありました。
では、故意あるいは過失というのは、どういうことをいうのでしょうか。故意というのは、わかりやすくいえば「わざとやった行為であり、過失というのは「注意を尽くしていれば事故を避けられたのに、その注意を尽くさず、不注意で事故を発生させた」ことをいいます。
事故が起こったときに、加害者にどのような注意義務が必要であったか、その注意義務を尽くさなかった加害者の心の状態などは、被害者には皆目わからないといってもいいでしょう。
それにもかかわらず、加害者の故意過失の証明は、被害者側がしなければならないのです。そして、交通事故の場合には、この立証は簡単ではありません。
交通事故の被害者は、民法の不法行為で損害賠償を請求しても、立証ができずに賠償を受けられないというケースが少なくなかったのです。そのため、被害者を十分救済できる新しい法律の制定が待ち望まれていました。
自賠法と立証責任
このような被害者を救済するために、昭和30年に自動車損害賠償保険法(略して自賠法)が制定されました。
この法律では、自動車事故によって、生命·身体を害された場合には、すなわち人身事故の場合には、自動車を自分のために運行している者(自動車の持主などで、これを運行供用者といいます)に対し、事故により、いくらの損害をこうむったということを、被害者側は主張・立証すればよいことになったのです。加害者側の故意·過失を立証する必要はあ
りません。
もちろん、加害者側すなわち運行供用者の方で、①運転者がちゃんと注意を守って運転していたこと、②事故が被害者または運転者以外の者の過失により起こったこと、③首動車に欠陥のなかったこと、の三点 ,主張·立証できた場合には、損害賠償責任を負わなくてよいとされています。
たとえば、AがB会社の車のキーを盗み、運転中に事故を起こした場合などは、本来の運行供用者であるBは、管理保管が十分なら賠償責任を負いません。
なお、この自賠法の適用は、人身事故に限られています。車の破損、家屋の損壊といった物損事故では、前述の不法行為によって損害賠償を請求することになりますので、被害者の方で加害者の故意、過失を主張・立証しなければならないのは、従来通りです。
その他、事故と被害の発生との間に因果関係がなければ、損害賠償は請求できません。
肺結核、高血圧で通院加療をしていたAが、車に追突され、軽かったので特別治療はしなかったところ、4日目に死亡した事件で、死因は「くも膜下出血」であり、事故は一つの誘因になるだろうと推測はできても、医学的に立証できないとして、相当因果関係を認めなかった判例があります。
また、事故発生について、被害者に過失が100パーセントある場合(たとえ飛込み自殺など)には、損害賠償を請求できません。
その他、自分で運転していて電柱にぶつかり死亡したという事故でも、本来は損害賠償請求の問題は起こらないわけですが、任意保険により自損事故保険としてカバーされる道が開かれています。
交通事故に関するお身体の相談や治療は当院にお任せください!!
親身になって対応させて頂きますので、どんな小さいことでも大丈夫ですので、
一度お電話下さい。